研究課題/領域番号 |
10671970
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
原 宣興 長崎大学, 歯学部, 助教授 (60159100)
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研究分担者 |
鵜飼 孝 長崎大学, 歯学部, 助手 (20295091)
阿部 嘉裕 長崎大学, 歯学部, 助手 (70202687)
加藤 伊八 長崎大学, 歯学部, 教授 (30005087)
金子 高士 長崎大学, 歯学部, 助手 (10284697)
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キーワード | 歯根膜組織 / 歯根吸収 / 破歯細胞 / 病理組織学的研究 / COX-2 |
研究概要 |
本研究では歯根膜組織に歯根吸収の誘導能が存在するか否かを明らかにするため、ラットを用いた病理組織学的研究を行った。 ラット両側下顎第3臼歯を抜歯し、その遠心根を切断した。そして可及的に速やかに遠心根の歯髄を抜髄後、その歯根膜組織を機械的に除去した歯根を歯根膜除去群、未処置のものを歯根膜保存群とした。これらの歯根をラットの背部皮下に移植し、1、3、5、7、10、14、21および28日後に周囲の皮下組織とともに摘出、固定後、AMeX法によるパラフィンブロックを得た。これより連続切片を作製し、l0枚ごとにH.E.染色、破歯細胞を同定するためのTRAP染色ならびにprostaglandin合成酵素であるCOX-2についての免疫組織学的検索を行った。 その結果、実験期間中をとおして歯根膜除去群には破歯細胞による歯根吸収は全く観察されなかった。一方歯根膜保存群では7日目には破歯細胞が出現し、28日目にはほどんど消失していた。組織計測を行うと、10日目の破歯細胞数が統計学的に有意に高かった。またCOX-2陽性細胞は比較的早期に保存された歯根膜細胞に観察された。 以上の結果を考察すると、歯根膜保存群にのみ歯根吸収が観察されたことから、歯根膜組織に歯根吸収の誘導能が存在することが明らかとなった。また破歯細胞の出現に先立って歯根膜細胞にCOX-2が観察されたことは、歯根膜細胞によるprostaglandin合成が歯根吸収に重要な役割を果たしているのではないかと推測された。
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