研究概要 |
1)サトイモ科の薬用植物であるカラスビシャクにストレスを加え、TLCバイオアッセイを指標として新たに産生するストレス化合物を探索し、抗菌性を示す1種のピペリジンアルカロイドをストレス化合物として単離し、構造を明らかとした。同じサトイモ科に属するサトイモから、抗菌性を示す3種のピペリジンアルカロイドと1種のピロリジンアルカロイドをストレス化合物として単離し、構造を明らかとした。そのうちの1種は、先にコンニャクのストレス化合物として単離したピロリジンアルカロイドと一致した。 2)タデ科薬用植物のダイオウにストレスを加え、HPLCとTLCバイオアッセイを指標としてストレス化合物を探索した。葉のストレス化合物としてemodin、10,10'-emodin bianthrone、および1-dotriacontanolを単離し同定した。根のストレス化合物としては、emodinとともにchrysophanol、aloe-emodinを単離、同定した。また、ダイオウの根・根茎の重要薬効成分であるsennoside Aに注目してストレス負荷後の含量を調べ、ストレスにより増加する傾向を認めた。 3)ストレスを加えたセンキュウ根茎スライスの抽出物と無処理根茎スライスの抽出物をHPLCとTLCバイオアッセイで比較し、新たに産生した化合物を単離し、senkyunolide Bと同定した。本化合物は、生薬川きゅう成分として報告されているがセンキュウ生根には含まれていなかった。 4)食用に供されるハマボウフウの若芽について、保存に伴うフロクマリン含量の変化をHPLCで分析し、根・根茎の場合と同様、ストレス化合物であるフロクマリンの含量が増加することを認めた。特に切断した後、保存するとフロクマリン含量の増加が顕著であった。
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