研究概要 |
生薬調製の過程でまだ生きている薬用植物組織に様々なストレスが加わり、ストレス化合物が誘導され、生薬成分の一部となる可能性が見出された。ストレス化合物が生薬の薬効に影響を及ぼす可能性が示唆されたことから、生薬中のストレス化合物を探索する目的で、分析マーカーとなるストレス化合物を単離し構造を明らかとした。1.セリ科に属する薬用植物ハマボウフウ、ボウフウ.トウキ、ホッカイトウキが生薬成分として知られる一連のフロクマリンをストレス化合物として産生することを見出した。生薬中のストレス化合物含量は、調製条件によって著しく変化した。同科のセンキュウはフタライド系化合物をストレス化合物として産生した。2.サトイモ科に属するコンニャクから2種のピロリジンアルカロイドを、サトイモからは1種のピロリジンアルカロイドと3種のヒぺリジンアルカロイドを、また、カラスビシャクから1種のヒペリジンアルカロイドをストレス化合物として単離し.構造研究を行った。3.ボタン科のシャクヤクは芍薬の微量成分として既知てあるヘデラゲニンをストレス化合物として産生した。4.ウコギ科のオタネニンジン、エゾウコギ、ヒメウコギ、オニウコギがストレス化合物を産生することを認め、オニウコギから1種のクマリンおよび炭素数17である2種のブテノライドをストレス化合物として単離した。5,タデ科のダイオウから、3種のアントラキノン系化合物と1種のビアントロン系化合物をストレス化合物として得た。
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