研究概要 |
リン酸化ペプチドは細胞内情報伝達機構解明研究にとって有用な化合物である。この観点よりリン酸エステルの酸素原子をCF@@S22@@E2基に置換した非水解性リン酸化アミノ酸およびこれを含むペプチドの合成を行ってきた。しかし,リン酸化スレオニン誘導体(F@@S22@@E2Pmab)は2級のジフルオロメチルホスホナートユニットを含むためその合成が困難であった。 そこで,このユニットの構築法について検討を加えたところニトロアルケンに対するLiCF@@S22@@E2P(O)(OEt)@@S22@@E2のラシタノイド金属塩存在下における共役付加反応,およびβ-ヨード-α,β-不飽和エステルに対するBrZnCF@@S22@@E2P(O)(OEt)@@S22@@E2-CuBrを用いたクロスカップリング反応が利用可能であることがわかった。そこで,まず共役付加反応を用い,保護F@@S22@@E2Pmab誘導体のラセミ体の合成を行い,次いで,クロスカップリング反応を用いて立体選択的な合成についても検討を加えた。ラセミ体の合成では,ランタノイド金属塩として,Ce(III)塩以外にLn(III),Yb(III)塩も共役付加反応に有用であることがわかった。 また,立体選択的な合成においては,不斉補助基としてsultam誘導体を用い,α位のアミノ基,β位のメチル基の不斉の構築を行った。本手法によりF@@S22@@E2Pmabの4種類のアイソマーの立体選択的合成に成功した。 また,合成アミノ酸をペプチド合成に利用したところ最終段階における脱保護反応に問題があることが判明したのでF@@S22@@E2Pmabの側鎖保護基であるエチル基の脱保護条件について再度検討した。その結果,ジリル化剤-シリル化剤の活性化剤-ヨウ素イオンのような求核剤による複合反応系によりエチル基は極めて容易に除去されることを見出した。
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