研究課題/領域番号 |
10671996
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
伊藤 喬 昭和大学, 薬学部・薬化学教室, 助教授 (40159885)
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研究分担者 |
堤 のぞみ 昭和大学, 薬学部, 助手 (00255382)
宮崎 倫子 昭和大学, 薬学部, 助手 (00266165)
松谷 裕二 昭和大学, 薬学部, 助手 (50255858)
永田 和弘 昭和大学, 薬学部, 講師 (20208010)
大沢 昭緒 昭和大学, 薬学部, 教授 (00102369)
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キーワード | 一酸化窒素 / ニトロソ化 / 酸化 / 還元 / アミン / アミド / ジスルフィド |
研究概要 |
筆者等が見いだした、NOによるHantzschジヒドロピリジンの酸化反応は、NO単独で有機反応が進行することを示した最初の例である。ここでは、触媒量の酸素添加により、反応が著しく促進されることも明らかとなった。そこで、NOと反応させる基質として、N-H結合を有する化合物を広範に取り上げ、NOとの相互作用を検討した。その結果、芳香族第一アミン類が、NOと触媒量の酸素存在下、還元的に脱アミノ化反応を起こすことを見出し、反応機構、応用性等について種々検討を加え、論文として報告した。本反応は、NOに還元力があることを示した最初の例であり、ヒドラジン、ヒドラゾン等の窒素化合物でも同様の反応が進行し、一般性の高い脱アミノ化へと発展可能であることを見いだした。この際生じる活性種は、NOが多量に存在する条件下でのN_2O_3であると考えられる。旧来、窒素酸化物を用いた化学反応では、多くの分子種が混在し、反応の制御を困難なものにしていたが、筆者等の研究により、NOが有機反応試薬として使用可能であることが明らかとなった。これらの知見を元に、生体構成成分であるアミド、ジスルフィド等の官能基とNOの反応性を検討した。その結果、NOが、種々のアミドのうち立体傷害の小さいものを選択的にニトロソ化することを明らかにした。これは、細胞内情報伝達物質としてのNOの反応性を考える上で興味深い現象と考えられる。また、ジスルフィドについては、触媒量のNOと酸素によって、ジスルフィド交換反応が進行することを明らかにした。これは、タンパクの変性、およびコンフォメーションの変化を考える上で重要な反応と考えられ、現在、ポリペプチドへの応用を検討中である。
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