研究概要 |
昨年度の研究により,牛膝の粗サポニン画分がマウスカラゲニン誘発足浮腫に対して抑制作用を示し,好中球に特異的に存在するミエロパーオキシダーゼ活性も低下させることが明らかになった.さらに,牛膝粗サポニン画分がLPS刺激HUBECにおけるICAM-1の発現を抑制し,ELAM-1の発現に顕著な影響を与えないことを見いだした.本年度は,牛膝の抗炎症成分について詳細に検討する目的で,分離の容易なメチルエステル体として単離,構造決定されたAchyranthoside類と,血管内皮細胞-白血球の接着阻害活性が認められたecdysteroid画分を,誘導体に導くことなく分離した.その結果,粗サポニン画分からchikusetsusaponin V,chikusetsusaponin V methyl esterおよび3-O-[α-L-arabinopyranosyl(1→3)β-D-glucopyranosyl]oleanolic acid β-D-glucopyranosyl(1→28) esterを,ecdysteroid画分からβ-ecdisterone,(25S)-inokosterone,(25R)-inokosterone,polypodine B,(25S)-palythoalone Bおよびpalythoalone Bを単離,構造決定した.このうち,(25S)-inokosterone,(25R)-inokosterone,(25S)-palythoalone Bは新規化合物,3-O-[α-L-arabinopyranosyl(1→3)β-D-glucopyranosyl]oleanolic acid β-D-glucopyranosyl(1→28) ester,polypodine Bおよびpalythoalone Bは牛膝から初めて得られた化合物である.これらの抗炎症活性につては,目下検討中である.
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