研究概要 |
1、 G.glabraを基原とするカンゾウ(甘草)の微量成分の単離と構造決定 旧ソ連産カンゾウ(甘草)はG.glabraを基原とし、歴史的には主に欧州で繁用されてきた生薬であるが、この塩化メチレン抽出エキスについて順相及び逆相シリカゲル、セファデックスLH-20を用いた各種クロマトグラフィを行うことで得られた各画分について更に詳細な化学的精査を加えた結果、新たにRL-Q.RL-R、RL-U、RL-Vの4種の微量成分を得た。これらはいずれも新規物質であり、構造はNMR等の分光学的検討によりそれぞれ2',4'--dihydroxy-[6",6"-dimethylpyrano(2゙,3":7,8)]-isoflavanone、2'-hydroxy-4'-methoxy-[6",6"-dimethylpyrano(2",3":7,8)]-isoflavanone、4',7-dihydroxy-[6",6"-dimethylpyrano(2",3":3',4')]-3-arylcoumarin、3-hydroxy-[6",6"-dimethylpyrano(2",3":7,8)]-benzopyranと決定した。G.glabraを基原としたカンゾウからはこれまでに得られているものも含めて20種以上の成分が単離されたことになり、きわめて多様な化学成分の存在が明らかとなった。 2、 カンゾウ成分の抗酸化活性とミトコンドリア機能保護作用の検討 ラット肝臓のミトコンドリア及びミクロソームにおける,ADP-Fe存在下NADH-rotenone依存性又はNADPH-P450reductase依存性過酸化脂質の生成をTBA法で測定することで、各カンゾウ成分の脂質過酸化に対する抑制作用を検討した。その結果、各フェノール性成分に顕著な活性が認めら、RL-EとRL-Mと仮称する成分には強い作用が認められ、ADP-Fe存在下NADH依存性及びdihydrofumarateるによる呼吸鎖酵素系の活性低下を著しく抑制することが明らかとなった。。キサンチン-キサンチンオキシダーゼ系やミクロソームにおけるスーパーオキサイドアニオンの生成に対する阻害作用も検討したが、これはRL-Mだけに認められた。
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