研究概要 |
本年度においては,抗HIV活性が確認されたエゾムラサキツツジ(Rhododendron dauricum L.)葉部及び枝部のMeOHエキス(IC_<50>>100μg/mL,EC_<50><0.8μg/mL)の活性成分の探索を中心に行った.MeOHエキスを分画して得られる,抗HIV活性EtOAC可溶部(IC_<50>29.6μg/mL,EC_<50>2.07μg/mL)をさらに,n-Hexaneと90%MeOHで分画したところ,活性はn-Hexane可溶部に移行することが判明した(IC_<50>18μg/mL,EC_<50>2.3μg/ml). この画分に存在する抗HIV活性成分を単離するため,各種クロマトグラフィー,セミ分取HPLCを行い抗HIV活性を示すトリテルペン2種(オレアノール酸,ウルソール酸)とともに,ダウリクロメン酸(daurichromenic acid)と新規クロマン誘導体2種を単離した.これらの構造は,各種スペクトルの検討により解析し,互いに立体異性体であることが判明したが,立体配置については,さらに検討が必要である. ダウリクロメン酸は,IC_<50>>17.0μg/mL,EC_<50><0.lμg/mL,T.I.>170,また新規クロマン誘導体の1種はIC_<50>15.9μg/mL,EC_<50>0.166μg/mL/,T.I.96.2と良好な抗HIV活性を示すことが明らかとなった.これらは,抗HIV活性を示すクロメン誘導体としては,初めてのものであった.また他1種の活性は検討中である.なお,この結果は日本薬学会119年会で発表する.
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