研究概要 |
解酒生薬、莪述(ショウガ科植物 Curcuma zedoaria,根茎)、天津柴胡 (セリ科植物 Bupleurumscorzonerifolium,根)及び三七人参(ウコギ科植物Panax notoginseng,根)のメタノール抽出エキスにラットを用いたD-ガラクトサミン(_D-GalN)・リポ多糖(LPS)誘発肝障害の抑制活性が認められたことから、活性を指標に有効成分を探索した。 莪述から新規Carabrane型セスキテルペンcurcarabranol Aなど13種を単離し、それらの絶対構造を含めて全化学構造を明らかにするとともに、31種の莪述成分について、in vitro初代培養肝細胞を用いた_D-GalN誘発細胞毒性の抑制作用、胸大動脈収縮抑制作用、及びマクロファージからのNO産生抑制活性を比較検討した。その中で、特に強い活性を示したセスキテルペン4種について、_D-GalN・LPS誘発肝障害抑制活性、D-GalN・腫瘍壊死因子-α誘発細胞などのin vivo肝保護作用を検討した結果、莪述のセスキテルペンが有効な肝保護作用を示すことを明らかにした。 天津柴胡から糖アルコールが結合した新奇なオリゴ糖鎖を有するscorzoneroside類やbupleuroside類など16種の新規サポニンを単離し、それらの絶対構造を含めて明らかにした。肝細胞毒性の抑制活性などin vitro活性を検討し、活性発現に必須のサポニン構造を解明した。更に、in vivoで強い活性を示したサポニンについて各種in vivo試験での活性を検討した結果、天津柴胡の肝保護作用成分を明らかにすることができた。 三七人参から新規サポニンnotoginsenoside類9種及び新奇なアセチレン型高級脂肪酸notoginsenic acidを単離し、それらの化学構造を明らかにするとともに、in vitro及びin vivo肝保護作用を明らかにした。 中国の薬物書「本草綱目」や「中薬大辞典」に収載されている解毒生薬の中で、_D-GalN・LPS誘発肝障害抑制活性が認められた広東人参(ウコギ科植物Panax quinquefolium,根)や樺木皮(カバノキ科Betula platyhylla,樹皮)から、肝保護作用やSOD 様作用及び抗酸化作用などを示す新規サポニンquinquenoside類5種及び新規芳香族化合物betulaplatoside類を単離し、化学構造を明らかにするなど平成10年度の当初計画をほぼ達成した。
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