研究概要 |
引き続き本年度も、優れた脱離能を有するクロロメタンスルフォネート"モノクレート"を用いた合成反応を幅広く展開し、新規な有用反応を開発しその一般性を確立する目的で行った。昨年モノクレートとCsOAcあるいはNaN_3との反応においてそれぞれ反転したアセテートあるいはアジドが効率良く得られることを報告したが、この手法を種々の求核剤による置換反応に応用検討した。その結果、モノクレートをDMSO中NaCNと加熱するとニトリルが好収率で得られることを見出した。この反応は相応するメシレートが低反応性の場合や酸に不安定な基質の場合特に有効であった。また、モノクレートの還元条件(LiAlH_4)、加水分解条件(Rli,RMgBr)を見出した。一方、側鎖α位にモノクレートを有する環状工一テルをZn(Oac)_2と加熱すると転位一環拡大した工一テルが生成するが、この反応を側鎖γ位にモノクレートを有するテトラヒドロフラン誘導体に応用し、THF-H_2O中ビシクロオキソニウムを経て容易に環拡大反応が進行し8員環工一テルが効率良く生成することを見出した。この環拡大反応における置換基、立体、環の大きさおよびモノクレートの位置等の影響について検討した。さらに、環状ケトンおよびラクトンの環拡大反応に応用し、α-tetralone由来のモノクレートより転位一環拡大した7員環ケトンが生成することを見出した。
|