研究課題/領域番号 |
10672019
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
勝 孝 岡山大学, 薬学部, 助教授 (40112156)
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研究分担者 |
永松 朝文 岡山大学, 薬学部, 助教授 (40155966)
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キーワード | イオン選択性電極 / ポテンシオメトリー / 分子認識化学 / 細胞内外pH差(ΔpH)測定 / 有機アンモニウムイオン電極 / 生体アミン電極 / バルプロ酸電極 / イオノフォア |
研究概要 |
今年度は、特に、イオン電極法による細胞内外pH差(ΔpH)測定法の開発を中心に研究を進めた。すでに、私達はメチルアンモニウム電極を用いたΔpH測定法を開発した。しかし、電極はカリウムイオンから大きな妨害をうけ、大腸菌を用いたΔpH測定では細胞内カリウムイオン濃度をあらかじめ下げる必要があった。ΔpHを定量するための有機アンモニウムイオンは、原理的には、メチルアンモニウムに限らず、「イオン形の膜透過性が小さい」一級から三級アミンを用いることができる。私達は今回、生体中に存在するカリウムイオン及びナトリウムイオンなどの無機カチオンからの妨害を受けないトリエチルアンモニウム電極を開発し、この電極を用いたΔpH測定を試みた。大腸菌膜に生じるΔpHをこの電極を用いて定量した結果、本法はメチルアンモニウム電極のときに必要とした細胞の前処理を全く必要としない極めて簡便なΔpH測定法となることが示された。電極は高濃度の塩化ナトリウム水溶液(4M NaCl)中でも高感度を与えたことから、好塩菌膜ベシクルで光照射により引き起こされるΔpH変化も測定できることが示された。 その他、イオン電極法がもつ簡便性を多くの生理活性物質の定量に展開させるために、生体アミン(ヒスタミン及びセロトニン)電極及びバルプロ酸(抗てんかん薬)電極の開発も試みた。また、トリオクチルホスフィンオキシド及びチオリン酸トリス(2-エチルヘキシル)が、それぞれバナジルイオン及び銀イオンに対するイオノフォアになることを見いだした。
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