研究概要 |
新規アリールボロン酸誘導体の合成は,ロフィンの合成法に従い,ベンジルあるいはその類似化合物,4-ホルミルフェニルボロン酸および酢酸アンモニウムを酢酸中で反応させることにより行った.合成した誘導体は,次の4種類である.4-(4,5-diphenyl-1H-imidazol-2-yl)phenylboronic acid |L-B(OH)_2|,4-(4,5-dipyridinyl-1H-imidazol-2-yl)phenyl-boronic acid |P-B(OH)_2|,4-(4,5-difuranyl-1H-imidazol-2-yl)phenylboronic acid|F-B(OH)_2|,4-(4-dimethylaminophenyl-5-phenyl-1H-imidazol-2-ly)phenylboronic acid|D-B(OH)_2|. 今回合成した誘導体はロフィンあるいはその類似骨格を有しているので,強い蛍光と化学発光を示すことが期待された.そこで,まず,各誘導体の蛍光を測定したところ,メタノール中ではL-B(OH)_2が最も強い蛍光を示し,その強度はロフィンの約2.6倍だった.化学発光強度に関してもL-B(OH)_2が最高の値を示したが,その強度はロフィンの約30%程度であり,その他の誘導体に関しては極めて弱い発光強度しか示さなかった.今後,これらのアリールボロン酸誘導体と糖質あるいはジオール類との反応性を調べてゆきたい. 次に,HRP/luminol/H_2O_2化学発光反応系におけるアリールボロン酸誘導体の増強効果を調べたところ,P-B(OH)_2が最大の増強効果を示した.P-B(OH)_2により得られる60分間の発光量は4ヨードフェノール(IP)によるものとほぼ同程度だったが,その発光パターンはIPと比較して最大発光度は弱いがその減衰は緩やかというものであった.今後,HRPの写真検出などへの応用を試み,その実用性を評価する予定である.
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