研究課題/領域番号 |
10672024
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
広野 修一 北里大学, 薬学部, 教授 (30146328)
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研究分担者 |
合田 浩明 北里大学, 薬学部, 講師 (60276160)
山乙 教之 北里大学, 薬学部, 助手 (60230322)
松下 泰雄 北里大学, 薬学部, 講師 (40050653)
中込 泉 北里大学, 薬学部, 助手 (30237242)
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キーワード | 分子動力学計算法 / CAMDAS / SUPERPOSE / TRNOE / ヒト血清アルブミン / タンパク結合 / サイトI / サイトII |
研究概要 |
1.分子動力学配座解析プログラム(CAMDAS)の改良および分子重ね合せプログラム(SUPERPOSE)の作成 CAMDASについてはマルチコピー分子動力学法、すなわち1種類の薬物について10個程度の初期構造から出発してトラジェクトリを生成し多くの配座を発生させる手法を組み込んだ。それに伴い自動サンプリング方法も改良した。 SUPERPOSEについては、ほぼ完成し定量的にも成功を修め論文として発表した。 2.ヒト血清アルブミン(HSA)-サイトIおよびサイトII結合薬物のTRNOE測定 サイトI結合薬物としてブメタニド、フロセミド、インドメタシンなど、サイトII結合薬物としてトルメチン、エタクリン酸、イブプロフェンなどを用い、HSAとこれら薬物との複合体を北里大学薬学部所有のNMR装置(バリアン400および600MHzで測定、結合配座抽出の手がかりと成る数多くのプロトン間の距離情報を得た。 3.HSA-サイトIおよびサイトII結合薬物の配座解析 作成したCAMDASを用い各薬物について構造の異なる数百個の安定配座をサンプリングし(再安定構造より十数kcal/molの範囲の配座を収集)、得られた配座集団より実験で得られたTRNOEの距離条件を満足する配座を数個〜数十個選び出し、各薬物の結合配座を抽出することができた。特にサイトI結合薬物についてはその途中結果を論文として発表した。さらに、完成したSUPERPOSEを使用して各薬物の配合配座確立と各サイトに共通の配座構造を抽出した。サイトI結合薬物の特徴は、疎水的部分(ベンゼン環、アルキル鎖など)と負のポテンシャル部分(カルボキシル基など)とが約5〜6A^^○の近い距離にありコンパクトな構造をとる。サイトII結合薬物は、疎水的環部分(ベンゼン環、アルキル鎖、ピロール環など)と負のポテンシャル部分(カルボキシル基など)からなり、薬物分子全体の長さが約12A^^○程度で比較的まっすぐな構造をとることがそれぞれ示唆された。 4.1.〜3.の方法で得られたサイトIもしくはサイトIIに結合する代表的な薬物であるブメタニドおよびトルメチンの結合配座を1998年に発表されたHSA単独のX線解析データ(PDB data)とを使用してFlexi Dock法(当教室所有の分子モデリング(SYBYL Ver6.3:Tripos社))により各サイトごとにフレキシブルドッキングを行い、薬物が結合したそれぞれのサイトの3次元結合モデルの構築および結合様式について解明の糸口を見い出すことができた。
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