研究概要 |
分子内エキシマー形成/蛍光誘導体化(エキシマー蛍光誘導体化法)に基づく、ポリアミン類の高感度かつ高選択的測定法が開発された。本法は、ポリアミン類をピレン試薬(4-(1-pyrene)butyric acid N-hydroxysuccinimide ester (PSE))で誘導体化後、逆相HPLCで分離し、エキシマー蛍光検出することに基づく。 ポリアミン類は同一分子内に2〜4個のアミノ基を有しており、これをPSEと1OO℃で20分間加熱することにより、各ポリアミンに対応するジ-〜テトラピレン誘導体が生成する。これらは、分子内エキシマー蛍光(450-520nm)を発し、PSE自身やその加水分解物からモノマー蛍光あるいはモノアミン類のモノピレン誘導体からの蛍光(360-520nm)と明瞭に識別される。これにより、生体や環境中に多量存在するモノアミン類の妨害を受けることなく、ポリアミン類が高感度かつ高選択的に定量することが可能になった。ポリアミン類(プトレシン(Put)、カダベリン(Cad)、スペルミジン(Spd)、スペルミン(Spm)およびスペルミン)からのPSE誘導体は、直線グラジエント溶離-逆相ODSカラムで分離検出された。検出限度(S/N=3,fmol/oncolumn)は、1.0(Put)、1.0(Cad)、4.7(Spd)、7.7(Spm)であった。さらに、誘導体の構造がLC-MSにより確認され、またそのエキシマー蛍光の発光特性が蛍光分光光度計や時間分解蛍光法などにより調べられた。 本法は、新規な誘導体化法で、複数個の他の官能基を有する生体成分にも適用できる。
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