アンモニアと[^<14>C]アセトンを出発原料として、[^<14>C]carbamoyl-PROXYLおよび[^<14>C]methoxycarbonyl-PROXYL([^<14>C]MC-PROXYL)を合成した。これらを用いたラット全身オートラジオグラフィーの結果、[^<14>C]MC-PROXYLは血液脳関門を通って速やかに脳内に移行するが、対照的に[^<14>C]carbamoyl-PROXYは血液脳関門を通過せず脳内には移行しないことが明確に示された。[^<14>C]MC-PROXYLは肝臓に最も多量に分布しており、脳への分布は多いものの、肝臓に比べると低かった。MC-PROXYLあるいはcarbamoyl-PROXYを用いて、ラット頭部の三次元ESRイメージングを行なった結果、MC-PROXYLで脳のイメージが得られていることが推定された。CH3マウス(10週齢、雄)にMC-PROXYLを腹腔内投与して放射線防護作用を検討した。MC-PROXYLを600mg/kgを投与して急性毒性による死を免れたマウスについては放射線照射に対する延命効果が認められ、8.7Gyのγ線全身照射で20%が生き残った。この結果は、MC-PROXYL MC-PROXYLと放射線により生じたラジカルの相互作用の存在を示唆しており、in vivo ESRで観察されるスピンクリアランスの原因の一つとしてスピンプローブと体内で生じるラジカルの相互作用が考えられる。
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