研究概要 |
TRPはイオン選択性が弱い、動物のカチオンチャネルである。TRPを、Na^+排出活性が無いために、Na^+感受性である大腸菌TO114に発現させて、Na^+感受性になるか検討し、弱いながら再現性を持って感受性にすることを確認した。さらに、TRPにHisタグを付けた遺伝子を構築して、この蛋白が細菌細胞膜に発現することを観察した。 本研究は、植物のK^+輸送系HKT1を細菌細胞膜上で構造と機能を検討する事にも発展した(2000,Plant Physiology)。さらに、HKT1は、細菌のK^+輸送系KtrBと構造上関連があり、KtrBは、動物の2回膜貫通型K^+チャネルが分子内で4回繰り返された構造を取るという推測を発表した(1999,Biophysical Journal)。動物のチャネルと、細菌のトランスポーターの構造上の相関を指摘した初めての報告である。我々は、KtrBの構造予測に従って部位特異的に変異を導入を行い、290番目のグリシンがK^+の選択性に関与しているという結果を得た(1999,FEBS Letters)。 光合成を行う細胞内小器官を持つシアノバクテリアに、海洋細菌のNa^+/H^+ antiporterを発現させるという試みも行い報告した(1999,Plant Cell Physiology)。 以上の知見をまとめて、蛋白質核酸酵素(1999)に総説を発表した。
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