研究概要 |
Bruton's tyrosine kinase(Btk)のアレルギー反応における役割を解明するため、CBA/JおよびCBA/Nマウス、およびCBA/JとCBA/NとのF1マウスを用い、前年度に引き続いてアレルギー性皮膚反応を比較検討した。また、培養ヒト肥満細胞を用い、IgE依存性のメディエーターの産生遊離におけるBtkの役割を検討した。感作マウスの耳殻にDNFBを塗布すると、1時間後、24時間後、および8日後に極値を有する三相性の耳殻腫脹が出現する。雄性F1マウスでは、第一相、第二相の腫脹のみならず、第三相の腫脹にも減弱が認められた。OAで免疫したCBA/Nマウスでは、CBA/Jマウスに比し、血中IgMは明らかに低値を示すが、血中IgEは明らかに高値を示した。また、LPSで誘発するTNF-α,IL-1βおよびIL-6産生にはCBA/JおよびCBA/Nマウス間に差は認められなかった。したがって、マクロファージ系細胞の活性化にBtkはほとんど関与しないが、肥満細胞の活性化には役割を演じ、このため三相性反応が影響を受けるものと推定される。また、IgM産生、IgE産生に対するBtkの関与の程度は等しくないと考えられる。培養ヒト肥満細胞はIgE依存性刺激によって種々のメディエーターを産生遊離する。Btkに対するantisense oligonucleotideを用いてhistamine遊離およびGM-CSF産生に対する影響を検討したが、明らかな変化を認めなかった。実験方法を含め、再度検討することが必要であると考えられる。
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