研究課題/領域番号 |
10672046
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
中山 貢一 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (50112769)
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研究分担者 |
小原 一男 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (60117611)
田辺 由幸 静岡県立大学, 薬学部, 助手 (10275109)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 血行力学因子 / 血行力学受容・応答機構 / 筋原性収縮 / 脳血管 / カベオラ / カベオリン / 細胞情報伝達 / 脳血管攣縮 |
研究概要 |
生体膜のカベオラ微小構造は、細胞内・細胞間情報伝達に関わる機能たんぱくの分子集合と機能発現の場である。 本研究で得られた成果について、以下の項目についてその概要を報告する。 1)脳・肺動脈における力学刺激の受容・応答とチロシンキナーゼ・チロシンリン酸化について : 血管内腔圧の上昇や伸展刺激による筋原性収縮と細胞内[Ca2+]iの同時測定に加え、例えばsrcファミリーチロシンキナーゼの係わるチロシンリン酸化機構を共焦点レーザー顕微鏡を用いた可視化実験を試みた。多彩な機能を有する血管細胞群における抗体の蛍光標識による可視化は幾多の困難がある。しかし、機能と分子動態を対応させる薬理学の発展に重要な方法論を提供した。 2)脳・冠動脈における受容体複合刺激による血管収縮増強と実験的脳血管攣縮に係わるプロテインキナーゼC(PKC)アイソフォームの細胞内動態について : ブタ冠動脈においてエンドセリン1の低用量(10-100pM)はセロトニンの収縮を強く増強し、PCCαとδ型が増強作用に関係する。同様な知見がイヌの自家血の大槽内投与による実験的能動脈攣縮の発現に呼応してPKCδ型が、強い攣縮の持続に際して、PKCα型が細胞質から膜への移行を示した。さらに、カベオリンが密に含まれる膜分画にPKCαとδ型が多く存在し、伸展刺激によりPKCδ型が活性化を受けてdown-regulationされる可能性を示した。 考察と今後の展開 : これらの結果から循環系細胞における機能の発現に際して、チロシンキナーゼ(例えばsrcファミリー)やプロテインキナーゼCなどの特定なアイソフォームやファミリーがカベオラを中心として分子集合する可能性が示唆された。今後、生体内免疫抗体探索法(in situ immunodetection)さらなる方法論の確立と、機能と分子動態を対応させる薬理学基盤となる研究を展開したいと考える。
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