本研究は、細胞内におけるCa^<2+>に関連した情報伝達系の制御蛋白質レギュカルチン(RC)遺伝子の転写制御機構を解明することを目的とした。RCmRNAは、肝臓に著明に発達しており、他の臓器ではわずかで、臓器特異性がみられる。このRC遺伝子(DNA)には組織特異的に結合する核内蛋白質の存在が確認されている。そこで、本年度の研究は、肝細胞内におけるRC遺伝子(mRNA)の発現調節因子と肝細胞核に存在するRC遺伝子に結合する蛋白質のcDNAクローニングを行なった。 ラット肝がん細胞(H4IIE)を用いた実験において、RCmRNAの発現は、肝細胞内へのCa^<2+>流入により増大され、その情報伝達にプロテインキナーゼCやカルモデュリン依存性キナーゼの活性化を介しており、また一方、血清刺激によるRCmRNA発現増大にはチロシンキナーゼの活性化が関与することを見出した。RCmRNAの発現は、これらプロテインキナーゼを介した核内転写因子のリン酸化が重要であると推察された。 さらに、肝細胞核に存在する核蛋白質のRC遺伝子(DNA)の同定を、そのS^1-上流域DNAフラグメントを用いて検索した。その結果、RC遺伝子に結合する蛋白質を発現する2つのクローンを単離し、約1kbの塩基配列を同定し、新規蛋白質であることを認めた。
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