研究概要 |
自律神経、特に副交感神経を外科的に徐神経した場合に、支配組織の平滑筋に生じる非特異的な収縮反応増大現象の機構を、最近明らかになりつつある平滑筋収縮蛋白系のCa^<2+>感受性増大機構と関連付け、スキンドファイバーを用いた薬理学的手法及びRT-PCR法を主に用いた分子生物学的手法により解明を試みた。AF64Aをラット前眼房内微量注入することにより毛様体神経節切除による副交感神経徐神経と類似の状態を作成することに成功した。ムスカリン受容体サブタイプのうち、ラット虹彩においてm2,m3,m4のmRNA量が高発現していることを定量的PCRにより示し、それぞれをRT-PCR法でクローニングしたところ、それぞれ既知のものと相同かまたは相同性が高かった。AF64A処置した虹彩ではm2とm3が増大、m4が減少していた。またAF64A処置した虹彩縮瞳筋に生じる非特異的な収縮増大が、収縮蛋白系のCa^<2+>感受性の増大を伴っているかについて筋小胞体機能を破壊したスキンドファイバーを用いて検討したところ、収縮蛋白のCa^<2+>感受性は僅かに増大していることが明らかとなった。この増大はプロテインキナーゼC抑制薬H-7により消失した。一方、最大収縮はスキンドファイバーにおいても非スキンドファイバーと同様に、徐神経により役1.5倍増大した。この最大収縮増大は収縮蛋白のアクチン、ミオシンや、収縮制御蛋白カルモジュリン、カルデスモン、カルポニンの量的変化では説明できないことが明らかとなった。
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