(PHGPxの発現変動の解析) カゼインで誘導誘導した腹腔好中球のPHGPxのmRNAの発現は末梢血の好中球に比較して著しく減少していた。この好中球を培養すると8時間後からmRNAの発現が上昇し、12時間で末梢血好中球の70%まで回復した。シクロヘキシミドで前処理を行うと、mRNAの回復は見られないことから、PHGPxの転写を調節するタンパク性の因子が存在することが明かとなった。 PHGPxの転写機構を解析するため、マウスのゲノムDNAのクローニングを行った。その結果、7つのエクソンからなるものと、イントロン構造をもたないDNAがクローニングされた。現在、これらDNAの転写調節領域を解析しているところである。 (ミトコンドリア型PHGPxの機構解析) ミトコンドリア型PHGPxを高発現した細胞株(M15細胞)を樹立した。M15細胞はロテノン、KCNなどの電子伝達系の阻害剤によるネクローシスに対して耐性を示し、ミトコンドリアの酸化的障害に対しての防御因子として機能していることを明らかにした。M15細胞は細胞外に過酸化脂質を添加して生ずるネクローシスに対しても耐性を示し、細胞の酸化的障害にミトコンドリアの酸化的防御因子であるPHGPxは重要な役割を果たしていることが明かとなった。
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