研究課題/領域番号 |
10672056
|
研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
高野 達哉 帝京大学, 薬学部, 教授 (40124995)
|
研究分担者 |
東 祐輔 帝京大学, 薬学部, 助手 (60286979)
森 雅博 帝京大学, 薬学部, 助手 (00230079)
板部 洋之 帝京大学, 薬学部, 講師 (30203079)
藤本 康之 帝京大学, 薬学部, 助手 (60317724)
|
キーワード | 動脈硬化 / 酸化LDL / リポタンパク質 / 酸化燐脂質 / モノクローナル抗体 / 泡沫細胞 / LCAT |
研究概要 |
最近、LCAT(lecithin cholesterol acyltransferase)欠損症患者の酸化LDL値が正常値の約3.5倍に上昇していることを見いだした。この知見をもとに、酸化LDLのエピトープである酸化リン脂質(PC)の代謝にLCATが関与している可能性について検討することにした。 鉄-アスコルビン酸で酸化処理したリノール酸放射標識PCをヒト血漿とインキュベートし、放射標識された中性脂質成分をTLCで分離検出する。健常者の血漿と酸化PCをインキュベートした場合、コレステリルエステル(CE)の生成量は減少し、新たな多数のバンドが検出された。一方、LCAT欠損症患者の血漿と酸化PCをインキュベートした場合には、これらの新たなバンドも認められない。さらにLCATを失活させるために、血漿にDTNB(LCAT阻害剤)を加えると、予想通りCEの生成は認められないが、同時に新たなバンドも検出されない。 さらに酸化LDLにHDLをLCAT酵素源として加えたところ、反応時間経過にしたがって抗原性は低下した。しかも、DTNBを添加してLCAT活性を阻害すると、抗原性の減少はほとんど認められない。この知見は、LCATは酸化PCの代謝を介してLDLの酸化変性を抑制している可能性を示唆している。以上の知見より、LCAT欠損症患者ではLCATによるLDLの酸化変性抑制機能が低下し酸化LDL値の上昇したと結論したい。
|