研究概要 |
研究計画調書に従い,本年度は以下の研究を行った. 1.昨年度設計した5種類のホスホロチオエート型アンチセンスDNA(S-oligo)を用い,LPSおよびサイトカイン類によりkupffer細胞から産生されるNOに対する抑制効果を検討し,iNOSmRNAの3'非翻訳領域に対するS-oligoの抑制効果が最も大であることを明かにした.また,何れのS-oligoも細胞に対する毒性は認められなかった. 2.前項で抑制効果が最も大きかったS-oligoで4時間前処理後,LPSで誘導されるkupffer細胞内のmRNAレベルをRT-PCR法により測定した.コントロールに比べ,S-oligo処理細胞ではmRNAレベルの有意な減少が確認された.以上の研究から本S-oligoはアンチセンス機構に基づきNO産生を抑制していると考えた. 3.ラット肝の中葉および左外側区の血流を一時的に遮断し,再開通させた後,阻血されていない尾状葉を摘出し,温阻血障害肝モデルを構築した.対照実験ではiNOSmRNAの発現は認められなかったが,1時間の温阻血後,1時間ごとに4時間までの再灌流を行ったラット肝内に,再灌流時間に依存したmRNA発現の増加をRT-PCR法で確認した.
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