研究概要 |
<1> 免疫増強薬と非ステロイド性抗炎症薬による致死毒性の発現現象の一般化 既にβグルカンがインドメタシン(INDO)との併用投与でマウスに致死毒性を示す事を見出してきた.今回更に,他のBRM剤としてコリネバクテリウム菌体製剤であるK-674並びに溶連菌製剤OK-432でも同様の致死毒性が発現することがわかった.このことから本現象はBRM剤全般で起きる可能性のあることがわかった.更に,臨床応用されているβグルカンであるSPGを用いて近文系マウスの本作用に対する感受性を比較したところ,(高)Balb/c nu/nu>C3H/HeN>Balb/c>C3H/HeJ(低)の順であった.nu/nuは胸腺機能不全マウスであるので,本活性には成熟型T細胞の関与は低いことが示唆された.また,nu/nuはSPGで誘導されるIFN-γ産生が他の系統よりも低いにもかかわらず,腹腔マクロファージの酸化窒素(NO)産生は高いという特徴を有している.これらのことから系統間の致死毒性の差はIFNγやNOといった単独のパラメーターの強弱では評価しきれないことが示唆され,更に検討を重ねる必要性のあることがわかった. <2> 致死毒性発現機構の解析 in vitro評価系として腹腔浸出細胞(PEC)の培養を行った.βグルカン投与マウスからPECを採取し,INDO共存下に培養すると,in vivoで認められたようにIFNγは著しく上昇した.更に,この作用は非付着細胞を除去し,付着細胞のみを培養した系では減弱した.以上のことからβグルカンとINDOによる致死作用はマクロファージ並びに非付着細胞の相互作用によって,サイトカイン産生調節異常が起きたことと関連していることがわかった.今後更に,細胞の特定,細胞間情報伝達並びに細胞内への情報伝達について解析する必要がある.
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