研究課題/領域番号 |
10672065
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
高橋 典子 星薬科大学, 薬学部, 助教授 (50277696)
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研究分担者 |
岩堀 明代 星薬科大学, 薬学部, 助手 (90287847)
福井 哲也 星薬科大学, 薬学部, 教授 (90111971)
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キーワード | レチノイン酸 / レチノイレーション / HL60 / 分化 / レチノイルCoA合成酵素 / レチノイルCoA転移酵素 / レチノイルCoA |
研究概要 |
ビタミンA酸(レチノイン酸,RA)による急性前骨髄球性白血病患者の治療において、再発後の患者はRAに対し耐性になりRAが使用できなくなることが知られている。本研究ではRA受容体に加わるRAの新しい作用機構であるRAによる蛋白質修飾反応(レチノイレーション)の制御に関わる生体因子及び物質について医薬品としての可能性を検討することを目的とする。本修飾反応はレチノイルCoA中間体の生成後、レチノイル部分の蛋白質中のアミノ酸への転移により起こると考えられるが、これらの反応を調節する蛋白質因子については知られていない。先ず、レチノイルCoAの蛋白質への転移に関わる酵素であるレチノイルCoA転移酵素について検討を行い、本酵素の高感度測定法を確立することを試みた。レチノイルCoAはRAのヒドロサクシニミジル中間体、及び無水RA中間体を経て化学合成し、有機溶媒で未反応のRAを取り除いた後、高速液体クロマトグラフィーを用いて精製を行った。得られた非放射標識レチノイルCoAを基質として用い活性測定法を検討したところ、本酵素を検出することはできなかった。次に、放射標識したレチノイルCoAを合成して活性測定法を検討したところ、本酵素活性は酵素量、基質濃度、時間に依存して上昇した。以上のことから、レチノイルCoA転移酵素の高感度検出法を確立することができた。また、本酵素の分布を調査したところ、ラットの肝臓、腎臓、精巣、及び、脳に本酵素の活性が認められた。今後は本法を用いてレチノイルCoA転移酵素の活性に影響を与える因子を探索し、医薬品としての可能性を検討すること、及び本酵素の精製を行う予定である。
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