研究課題/領域番号 |
10672068
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物系薬学
|
研究機関 | 北陸大学 |
研究代表者 |
松永 民秀 北陸大学, 薬学部, 講師 (40209581)
|
研究分担者 |
宇佐見 則行 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (60257483)
渡辺 和人 北陸大学, 薬学部, 助教授 (30113038)
山本 郁男 北陸大学, 薬学部, 教授 (50069746)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
キーワード | 7-OH-delta-8-THC / 3-OH-β-ionone / 9-fluorenol / 第2級アルコール / ミクロソーム / 脱水素酵素 / 酸化 / NAD(P) |
研究概要 |
シトクロムP450を主要酵素とし、酸素原子添加反応により第2級アルコールを対応するケトン体に酸化する酵素Microsomal Alcohol Oxygenase(MALCO)の研究過程において、NADあるいはNADPを補酵素とし、ビタミンAの構成分子である3-OH-b-ionone(第2級アルコール)のOxo(ケトン)体への酸化反応を触媒する脱水素酵素が肝ミクロソーム中に存在することが示唆された。そこで、マウス及びサル肝ミクロソームに局在するアルコールの酸化的代謝反応を触媒する酵素の性質及び生体内機能を明らかにすることを目的とした。その結果、マウス及びサル肝ミクロソームにより3-OH-b-iononeは3-Oxo-b-iononeへと酸化され、その活性はどちらもNADを補酵素として用いた場合に最も高く、次いでNADP、NADPH、NADHの順であった。特にサルにおいてはNAD依存的な活性がNADPH依存的な活性(MALCO)よりも約2倍高かった。肝の各細胞分画におけるNADあるいはNADP依存的なOxo体生成活性は、マウスにおいて可溶性画分において最も高く、ミクロソームにおいてはその約1/3にすぎなかった局在性に種差のあることが明らかとなった。NAD依存的なOxo体生成活性は、両動物種とも肝において最も高く、次いでマウスでは肺及び睾丸で高かったのに対し、サルでは小腸及び脳で高く、臓器分布にも種差が認められた。さらに、サル肝ミクロソームのNADあるいはNADP依存的なOxo体生成活性は、マウスと異なり各種阻害剤に対する感受性に差が認められ、補酵素要求性の異なる酵素の存在が示唆された。サル肝ミクロソームのNAD依存的な活性のVmax/Km値は、NADPH依存的な活性よりも約10倍高かった。従って、サルにおけるOxo体生成にはMALCO(P450)よりむしろNADを補酵素みを補酵素とする酵素を部分精製し、とする脱水素酵素の関与が大きいことが明かとなった。そこで、ニホンザル肝ミクロソームより精製を試みた。その結果、NADのその存在を明らかにした。しかし、可溶化剤としてコール酸ナトリウムならびに安定化剤としてグリセロール及びジチオスレイトールを用いたが、初期精製段階において活性の顕著な低下が認められたことから、本酵素は非常に不安定であることが推定された。現在、そのN-末端アミノ酸配列を検討していることろである。また、サル肝9,000xg上清を酵素源としたNADP依存的な酸化活性は、9-fluorenol(122 nmol/min/mg protein)において最も高く、次いでS-indanol(50)、3-OH-b-ionone(15)、R-indanol(7)の順であった。しかし、7a-OH-D8-tetrahydrocannabinol(7a-OH-D8-THC)、8b-OH-D9-THC及び8a-OH-D9-THCでは前記基質と比較して極めて低く、特に高いNADPH依存的活性を示す7b-OH-D8-THCでは検出限界以下であった。
|