1. 中国マムシ血清からPLA_2阻害タンパク質の入量精製と結晶化 中国マムシ血清を透析後、Blue Sepharoseカラムに添加することによって吸着画分からPLIαを高収率で精製することができた。Blue Sepharoseカラムの素通り画分について、MonoQやPoros20QEを用いたイオン交換カラムクロマトグラフィー、ついでHi-Trap Phenyl HPを用いた疎水カラムクロマトグラフィーを行うことにより、PLIβおよびPLIγを精製することができた。しかし、出発材料としての中国マムシ血清を大量に手に入れることが難しく、まだ結晶化に必要な量の精製標品は得られていない。 2. 大腸菌を用いたPLA_2阻害タンパク質の発現系の確立と部位特異的変異導入を用いた構造活性相関PLIαcDNAを発現ベクターpET-16bに組み込み、大腸菌で発現させて天然のPLIαと同程度のPLA_2阻害活性を持つ組換えタンパク質を得ることに成功した。現在、部位特異的にアミノ酸置換させた組換え体を作成しつつある。PLIβcDNAについては発現ベクターpET-32に組み込み、チオレドキシンとの融合タンパク質として発現させたところPLA_2阻害活性がみられた。現在、チオレドキシンの切断条件や再構成条件の至適化を試みている。PLIγcDNAもPLIβの場合と同様に発現ベクターpET-32に組み込んで発現させたが、現在のところ阻害活性を示す組み換えタンパク質は得られていない。 3. ヒト血清からロイシンリッチα2グリコプロテイン(LRG)の精製とPLA_2阻害活性の検討2次元電気泳動のゲルからLRGを含むスポットを取り出したがかなり少量しか得られなかったので、これを抗原として免疫することはできなかった。そこで、報告されているヒトLRGのアミノ酸配列を参考にしてLRGのN末端20残基に相当するペプチドを合成し、これを抗原としてウサギを免疫し、抗ペプチド抗体を作成した。この抗体をリガンドとして結合させたアフィニティーカラムを作成し、このカラムにヒト血清を添加したところ、LRGはこのカラムに吸着しなかった。しかしこの抗ペプチド抗体はウェスタンブロットによるLRGの検出に使えることがわかったので、現在種々のクロマトグラフィーを用いてLRGを精製しつつある。
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