研究概要 |
ビタミンD受容体遺伝子欠損マウス(VDRKO)は、離乳後から顕著な低カルシウム(Ca)血症を示す。そのため、骨組織では、骨端の肥大化、骨端成長板の伸長、類骨量の増大などが認められ、くる病所見を呈す。VDRを介する1α,25-dihydroxyvitamin D3の遺伝子発現作用に関して、動物レベルでは不明な点が多く残されており、一定の見解が得られていなかった。そこで、骨形成過程における骨代謝調節因子の遺伝子発現の挙動を生体レベルおよび組織レベルで解明することを目的とした。また,高Ca飼料で飼育したVDRKOの骨組織の変化を調べ、VDRの役割について検討した。 1.VDRKOの成長過程における骨中のオステオカルシン(OC)およびオステオポンチン(OP)mRNAの発現量を定量したところ,VDRKOの大腿骨におけるOC mRNA発現量は,Wildに比べ3週齢で有意差はないものの低い傾向が認められ,7週齢では有意に低かった。VDRKOの大腿骨および椎体骨のOP mRNA発現量は,3週齢,7週齢ともにWildと差異が認められなかった。 2.VDRKOの脛骨中のOCおよびOPの発現部位をmRNAレベルとタンパクレベルで組織化学的に観察したところ,OCは類骨層,OPは肥大軟骨細胞,類骨層などで強く発現していた。 3.高Ca飼料で飼育したVDRKOの骨組織像は、異常が改善され、類骨の石灰化が認められたが、肥大軟骨細胞の大きさは巨大なままであった。しかし,ALP、TRAPともに強く染色され、骨形成および骨吸収ともに促進していた。また,OPの発現量はWildと差異は認められず、OCのmRNA発現量は、Wildに比べ若干高い傾向が認められた
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