研究課題/領域番号 |
10672081
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
吉田 雄三 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (70085281)
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研究分担者 |
青山 由利 創価大学, 工学部, 助教授 (00158718)
山下 稚加 武庫川女子大学, 薬学部, 助手
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キーワード | 抗真菌剤 / 薬剤耐性遺伝子 / 病原性真菌 / P450 / ステロール代謝 / 異種発現 / クローニング |
研究概要 |
3年間を予定している本課題研究の開始年度に当たる本年度は、病原性カンジダ酵母からクローニングされたステロール14脱メチル化P450(CYP51)の構造 解析とそれを大腸菌内で発現させる基本的条件の検討を行い、以下の成果を得た。 1. 構造解析とそれに基づく基本的な研究方針の策定:フルコナゾール耐性カンジダ菌由来の変異CYP51分子と感受性株の2つのCYP51対立遺伝子の構造を解析し、フルコナゾール感受性菌のCYP51対立遺伝子が構造の異なる酵素をコードしており、耐性菌のCYP51はその一方に極めて近い構造を有していることを明らかにした。この事実は、対立遺伝子の一方に蓄積した変異が耐性菌出現の潜在的な要因となっていることを示唆する。この点を確認するため、これら3種のCYP51遺伝子を個別に大腸菌内で発現させ、それぞれがコードする酵素の性質を比較することとした。 2. 大腸菌内発現に関する基本的条件の設定:我々が従来ラットのCYP51や結核菌のCYP51の発現に成功した実績を持つ大腸菌発現系を用いて上記3種のCYP51遺伝子の発現系を構築した。この過程では、カンジダ属酵母のみに存在する特異なコドンの置換、発現ベクターへの組み換えに必須の塩基の置換など多くの技術的困難の克服に時間を要したが、最近になって発現ベクターの構築と予備的な発現に成功した。 3. 次年度以降の計画など:上記の発現系による3種のカンジダCYP51タンパク質の大量産生条件を検討し、産生されたタンパク質を単離精製する。また、それらの酵素化学的性質を相互に詳細に比較し、酵素タンパク質の構造変化とアゾール抗真菌剤に対する感受性の関係の解析を進める。
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