研究課題/領域番号 |
10672081
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
吉田 雄三 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (70085281)
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研究分担者 |
青山 由利 創価大学, 工学部, 助教授 (00158718)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | アゾール抗真菌剤 / シトクロムP450 / 薬剤耐性菌 / 突然変異 / ステロール合成阻害 / アゾール耐性真菌 / CYP51 / Candida albicans |
研究概要 |
本研究課題ではC.albicansのフルコナゾール耐性DUMC136株を対象として、アゾール耐性機構を標的酵素であるCYP51の変異に注目して解析した。DUMC136株は、アゾール感受性を低下させるような変異を起したCYP51のホモ接合体となることでアゾール耐性を獲得しており、C.albicansのCYP51にはこの領域に変異が蓄積しやすい性質があって、アゾール抗真菌剤の存在する環境でアゾール感受性の低下したCYP51のホモ接合体が選択されることが、アゾール耐性C.albicansが出現する基本機構であろうと推定した。アゾール耐性株と野生株のCYP51を大腸菌内に発現させて精製し、それらの構造とアゾール感受性の変化の関係を解析した。野生株のCYP51との間に二つのアミノ酸置換をもつ耐性株のCYP51では、精製標品による再構成系での触媒活性とフルコナゾール感受性が有意に低下していた他、酸化型のSoret吸収帯の僅かな長波長シフト、還元型CO結合物の安定性の低下など、野生株由来のCYP51とは明らかに異なる性質を示した。最近のM.tuberculosis CYP51の結晶構造解析結果によれば、CYP51_<DUMC>で変異が起こっているCヘリックス領域は可動性が高い領域であり、基質や阻害剤との結合などによる酵素の立体構造変化に関与する可能性が指摘されている。したがって耐性株CYP51のアゾール耐性は、変異によってアゾール化合物と直接相互作用するアミノ酸残基が置換してアゾール化合物との親和性が低下するのではなく、アミノ酸置換による分子全体の立体構造の微妙な変化が間接的にアゾール化合物との反応性を低下させるという機構で生じたものである可能性が高いと結論できる。
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