研究課題/領域番号 |
10672082
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
塩見 浩人 福山大学, 薬学部, 教授 (60025715)
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研究分担者 |
田村 豊 福山大学, 薬学部, 講師 (30217202)
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キーワード | モルヒネ耐性 / モルヒネ依存性 / アデノシン / アデノシンA1受容体 / アデノシンA2受容体 / マイクロダイアリシス / 疼痛制御系 / 頭痛促通系 |
研究概要 |
モルヒネ依存性獲得ラットにナロキソンを投与することにより発現させた禁断症状は、脳内にA1受容体作動薬であるCHAを前処置することにより有意に抑制された。また、A2受容体作動薬であるCGS21680の前処置によっても有意に抑制されたが、A1受容体拮抗薬であるCPTの前処置およびA2受容体拮抗薬であるKF17114の前処置によっては有意な変化は認められなかった。 中枢内アデノシン系の耐性形成・依存性形成時の動態変化は、マイクロダイアリシス法を用いて検討した。モルヒネの鎮痛作用部位である延髄巨大細胞網様核/傍巨大細胞網様核(NAGC/NRPG)でのアデノシンの遊離はモルヒネの急性投与によって有意に増大し、この効果には耐性は生じず、モルヒネを連続投与しモルヒネ耐性が形成された時点においては、さらに有意な遊離量の増加が観察された。 一方、アデノシン受容体のモルヒネ連続投与による効果を受容体結合試験で検討した。脳内のアデノシン受容体はA1およびA2受容体が存在するが、A2受容体は大脳基底核に局在している。そこで、今回はA1受容体の変化を中心に検討した。脳内A1受容体はモルヒネ耐性が形成された状態ではKd値には変化はなかったが、受容体数が有意に減少していた。マイクロダイアリシスの結果とあわせ考えると、モルヒネ投与により中枢アデノシンの遊離が促進する結果、受容体においてはdown regulationが起こっていることが考えられる。しかし、耐性形成時にはA1受容体がdown regulationを受けていてもなおこの系の作用が強く現れ鎮痛作用が抑制されるものと考えられる。
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