研究課題/領域番号 |
10672083
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
添田 秦司 福岡大学, 薬学部, 助教授 (20078695)
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研究分担者 |
占野 廣司 福岡大学, 薬学部, 教授 (00078693)
小柳 悟 福岡大学, 薬学部, 助手 (60330932)
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キーワード | 血管内皮細胞 / 血管新生 / 線溶系因子 / アストロサイト / プロテアーゼインヒビター / セラミド / 神経細胞死 / 抗アポトーシス作用 |
研究概要 |
線溶抑制因子PAI-1は、通常、血管内皮細胞から放出されるが、肥満時には内臓脂肪においても発現し、心脈管系疾患の危険因子となる。昨年度までに、血管内皮細胞のPAI-1放出増加には、セラミド情報伝達系が関与していることを明らかにした。本年度はさらに、脳虚血後にみられる神経細胞死と脳内PAI-1が果たすであろう生理的役割の解明へと研究を発展させた。その結果、培養アストロサイトは多量のPAI-1放出能を有することを発見した。アストロサイトをダウノルビシン処理してセラミドのde novo合成を高めると、PAI-1mRNAの転写は抑制され、PAI-1放出も同時に減少した。このようなPAI-1が不足した環境下では、PC-12ニューロン細胞は生存できず、アポトーシス死を起こすことが判明した。すなわち、脳内PAI-1は、末梢におけるPAI-1の機能と異なり、神経細胞の生存維持にとって重要な生理的因子である可能性が示唆された。このPAI-1の抗アポトーシス作用は、プロテアーゼインヒビターとしての本来の機能とは無関係であることも明らかになった。血管の病態の一つに血管新生がある。癌組織が生き延びるために必要な血管新生行為を阻止することは、新しい癌治療戦略の一つである。癌の血管新生には、線溶系の活性化が深く関与している。本研究室で開発したフコイダン誘導体は、血管内皮からのPAI-1放出を増加させる機序で血管新生を抑制した。すなわち、PAI-1放出を促進させるような薬物が開発できれば、癌の血管新生ならびに増殖を阻止できることも明らかになった。
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