研究概要 |
本研究では,生命活動の基盤として大切な役割を担っている延髄,とりわけ孤束核で営まれる機能に対し,隣接する最後野がどのようにその情報を伝え,生体の恒常性維持に関与しているかを明らかにする.本年度はその2年目で次の点を明らかにできた. 延髄の最後野,孤束核,迷走神経背側核群の神経連絡は極めて複雑で,まだ十分には解明されていない.そこでこの延髄部分の機能的な神経連絡をin vitroの系で調べる目的で,電気生理学的研究を行なった. 最後野や孤束核などを含む400μmの脳切片を作製し,集合電位や活動電位を記録しながら種々の薬物の影響を調べた結果,最後野から孤束核にグルタメイト性神経が投射していることを発見した.そして最後野からの情報は,孤束核へ伝えられ,弧束核の主にnon-NMDA受容体を介して動脈圧受容器反射を調節している可能性を明らかにした.さらに形態学的にも最後野から孤束核への神経投射の存在を明らかにできた.しかし現在,その神経の形態学的同定はできていない。次年度の課題である. 今年度は,交感神経活動を記録する系も完成したので,この実験系をも有効に活用して研究を進めている.その結果を,3月の薬理学会で発表するために,旅費を用いた.
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