研究概要 |
本研究では,生命活動の基盤として大切な役割を担っている延髄,とりわけ孤束核で営まれる機能に対し,隣接する最後野がどのようにその情報を伝え,生体の恒常性維持に関与しているかを明らかにする。本年度はその最終年度で,次の点を明らかにできた。 本年度は,炎症などの末梢からの情報がどのように動脈圧受容器反射を調節しているかをin vivoの系で明らかにした。特に,昨年度完成した交感神経の記録システムを用いて実験を進め,その仕組みを明らかにできた。さらに,最後野がどのようにその情報を伝え,生体の恒常性維持に関与しているかを明らかにする目的で,フェッレットを用いて嘔吐の研究を行なった。その結果,末梢性および中枢性嘔吐のいずれも最後野のタキキニンNK-1型受容体を介する可能性が明らかにされた。 生命活動の基盤としての延髄における,心血管調節に対する孤束核-最後野の新たな意義について本研究でいくらかの新しい知見を得ることができたので,その成果を英国ロンドンの国際シンポジウムで発表した。そのために海外旅費を用いた。
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