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1998 年度 実績報告書

腫瘍壊死因子による obese gene遺伝子発現と脂肪細胞分化の転写調節

研究課題

研究課題/領域番号 10672093
研究機関東京女子医科大学

研究代表者

内田 庸子  東京女子医科大学, 医学部, 講師 (30075494)

研究分担者 小川 哲  東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60266715)
村木 篁  東京女子医科大学, 医学部, 教授 (50051446)
キーワード褐色脂肪細胞 / 腫瘍壊死因子 / 肥満遺伝子 / レプチン / プロテインキナーゼC / 遺伝子発現
研究概要

脂肪細胞は、分化に応じて脂肪細胞特異的な遺伝子を発現し機能を果たす。近年発見された肥満遺伝子(ob-gene)の遺伝子産物レプチンは、生体のエネルギーバランスを恒常に保つ機能分子であるが、脂肪細胞特異的な分化発現マーカーでもある。本研究では、アデイポサイトカインの1つであり従来分化抑制因子として考えられている腫瘍壊死因子(TNF-α)が、レプチンの産生分泌にどのように働くか又、その作用に関与する細胞内情報伝達系等を明らかにすべく、マウス褐色脂肪細胞初代培養系を用い実験を行ない、以下の結果を得た。
1) TNF-αは、濃度(0.5-50ng/ml)、時間(3-48h)依存性に、褐色脂肪細胞のレプチン分泌(medium中へ分泌したレプチンをRIAにて測定)を抑制した。
2) RT-PCRによりレプチンmRNAを測定すると、TNF-αによりob-gene遺伝子発現の抑制が認められた。
3) TNF-αの細胞内情報伝達系の中で、脂肪細胞分化に係わるというプロテインキナーゼC(PKC)の関与を明らかにすべくPKC阻害薬を用いて実験した。選択的PKC阻害薬bisindolylmaleimideI(BIM)およびl-(5-isoquinolinesulfonyl)-2-methylpiperazine dihydrochloride(H7)は、TNF-αのレプチン遺伝子発現および分泌低下作用を抑制した。
4) 褐色脂肪細胞の細胞質および膜分画を調整しPKC活性を測定すると、TNF-αによりPKC活性が細胞質分画で減少、膜分画で増加しトランスロケーションが認められた。
5) ホルボールエステル、phorbol 12-myristate acetate(PMA)および合成ジアシルグリセロールによりPKCを活性化すると、レプチンの遺伝子発現、分泌が抑制された。
以上の結果は、褐色脂肪細胞において、TNF-αは、PKCを介する機序によりレプチン産生を低下し、細胞の成熟化を抑制することが明らかとなった。更に関与するPKCのサブタイプおよび転写調節について研究中である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 内田庸子 他: "培養褐色脂肪細胞における腫瘍壊死因子によるobese gene遺伝子発現の抑制" Japanese Journal of Pharmacology. 76・Suppl I. 267p (1998)

  • [文献書誌] 内田庸子 他: "腫瘍壊死因子による培養褐色脂肪細胞のレプチン分泌およびob-gene遺伝子発現の抑制作用について" 日本内分泌学会雑誌. 74・1. 190 (1998)

  • [文献書誌] Y.Uchida et al.: "Tumor necrosis factor-α induces inducible nitric oxide synthase(iNOS)through ceramide signaling and activation of nuclear factor-kB in brown adipocytes" Naunyn-Schmiedeberg's Archives of Pharmacology. 358・1 Suppl I. R296 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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