研究課題/領域番号 |
10672100
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
高橋 幸一 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (00179483)
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研究分担者 |
真弓 忠範 大阪大学, 薬学部, 教授 (00098485)
沼田 奈々子 武庫川女子大学, 薬学部, 助手 (60291811)
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キーワード | 膜融合リポソーム / 鼻粘膜 / 気管粘膜 / シアリダーゼ / トリプシン様酵素 / リポソーム / センダイウイルス |
研究概要 |
今年度は、気管粘膜への高分子物質の送達における膜融合リポソーム(FL)の有用性評価を通常リポソーム(Lip)と比較検討することを中心に行った。その結果、得られた新たな知見等の成果を以下に示す。 1.気管粘膜に対するFLの有用性について検討を加えたところ、鼻粘膜と同様にLipに比ベ、粘膜細胞との吸着、融合において優れていることが明らかとなった。また、FLにおいて投与後初期に急速な吸着、融合は起こるものの、その後の融合は起こらないか、起こったとしてもその速度は非常に遅いものであった。 2.鼻粘膜とは異なり、気管粘膜へのFLの移行、融合に粘液の影響は認められなかった。これは、粘液の量的相違に起因するものと考えられる。 3.リポソームの表面電荷の影響について検討を加えたところ、正に電荷したリポソームにおいて、これら粘膜細胞との吸着に有意な増加が認められたが、融合においては有意な増加は認められなかった。 4.In vitroにおいて細胞融合を誘起することが知られている種々物質をFLと併用し、その融合促進効果をIn vivoで検討したところ、FL単独と有意な変化は認められなかった。 5.FLの細胞融合において、シアリダーゼが負に関与していることが報告されている。そこでシアリダーゼ阻害剤を併用したところ、鼻粘膜においては単独に比べ有意に融合の増加が認められた。しかし、気管粘膜においては、有意な増加は観察されなかった。 6.In vitroにおいてトリプシン類似酵素がFLの融合を阻害することが知られている。そこで、In vivoにおけるこの酵素の影響を調べたところ、In vivoにおいても融合を阻害することが観察され、これら酵素の阻害剤がFLの有効利用において有用であることが示唆された。
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