研究概要 |
大麻に含まれる3種の生理活性カンナビノイド(THCA,CBDA,CBCA)の大量調製法を確立するために、本年度は、これらの化合物の生合成酵素の遺伝子クローニングを試みた。 THCA合成酵素の遺伝子クローニングに関しては、まず最初に本酵素をBrCN及びV8プロテアーゼによる部分分解を行い、得られたペプチド断片について、アミノ酸配列を決定した。この配列を基に合成した重複プライマーを用いてRT-PCRを行い、350bpの増幅産物をクローニングした。次いでこの塩基配列を基にプライマーを合成し、5′-RACE及び3′-RACEを行い全長のクローニングに成功した。得られたcDNAには545個のアミノ酸をコードする1635bpのORFが存在していた。また推定アミノ酸配列にはN-glycosylation site,phosphorylation site及びflavin cofactor binding siteと考えられる配列が認められた。一方、CBDA合成酵素についてもRT-PCR,5′-RACE,3′-RACEを行い、1632bpのORFを有する遺伝子をクローニングした。THCA合成酵素及びCBDA合成酵素の一次構造を比較した結果、84%のアミノ酸が一致することが判明した。 クローニングしたTHCA合成酵素の遺伝子を発現ベクターにクローニングした後、大腸菌での発現を行った結果、本酵素の誘導が確認されたが、inclusion bodyに不活性な状態で発現していることが判明した。現在、種々の条件を用いて活性体への誘導を行っている。また、CBDA合成酵素の発現についても、不活性酵素としての発現を確認している。
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