昨年度の研究では、(CH_3)_2AsI-光照射によりジメチルヒ素過酸化ラジカル((CH_3)_2AsOO・)が容易に生成できることを確認した。本年度は、マウス皮膚発癌実験モデルを利用し、この(CH_3)_2AsOO・の皮膚発癌形成過程に対する影響を中心に検討した。以下、得られた結果を示す。 1.マウス皮膚に塗布した(CH_3)_2AsIを微量紫外線照射し、(CH_3)_2AsOO・を皮膚内で発生させることで、皮膚発癌initiation作用を検討したところ、強力なinitiation作用は認められなかったが、発癌promotion作用は認められた。 2.上記1で述べたように、(CH_3)_2AsOO・自身において発癌promotion作用を有することを明らかにしたが、他のプロモーター(微量紫外線など)と(CH_3)_2AsOO・を併用した場合、発癌promotionにおいて相加効果が認められたことから、両プロモーターの作用機序が異なることが予想された。 3.(CH_3)_2AsOO・による発癌promotionおよびprogression作用機序を解明するために、Balb/3T3clone A 31-1-1細胞を用いたin vitro試験法を確立した。(CH_3)_2AsOO・による発癌promotionおよびprogression作用に関して、上記1、2で述べたin vivo試験と同様な結果がこのin vitro試験法により得られた。
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