研究課題/領域番号 |
10672121
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鳥羽 研二 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (60155546)
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研究分担者 |
阿古 潤哉 東京大学, 医学部附属病院, 教務職員 (60292744)
江頭 正人 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80282630)
金 承範 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (30254907)
飯島 節 国際医療福祉大学, 保健学, 教授 (80193126)
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キーワード | 老年症候群 / Geriatric Scale / 3つの老年症候群 / 後期高齢者 / 老人保健施設 |
研究概要 |
1. 項目の初期選定:内外の老年医学教科書に「老年症候群」や「老年者に特有な病態、徴候」として記載されている項目を選出し、今回は徴候のありを1点、なしを0点とし、これらの総計数をGeriatric Scaleとした。 2 Geriatric Scale:Geriatric Scaleには施設差が存在し、在宅看護では平均6個、急性疾患の多い東大老年病科では6.5個なのに対し、慢性疾患の多い老人病院では軽症病棟で8個、重症病棟では10個であった。さらに、症状が安定しているが介護需要が高い老人保健施設では、平均9.5個と高値であった。 施設の種類と関係なく年齢とGeriatric Scaleの散布図を描くと、年齢とGeriatric Scaleのあいだに指数関数的な正の相関がみらた。生理的老化と病的老化の総和を示すものとして、老化度を表す物差しとなる可能性がある。 3 老年症候群の新しい分類:東大老年病科症例で各症候の出現頻度を各年代別に調べると、加齢変化の見られないもの(例:肥満)、65歳以降の老年前期から徐々に増えるもの(例:痴呆)、80歳以降の老年後期から急速に増加するもの(例:嚥下困難)の3群に分けられることが判明した。 老年症候群といわれてきたものが、年齢によって重点的な評価項目が異なることを示唆し、老年症候群という用語の定義の見直しも必要である。 4 老人保健施設における検討:老人保健施設においては、前期老年者からすでに、老年後期から急速に増える症候群が非常に多く、これらはADLの低下に密接に結びついていることが知られており、在宅復帰を目指す施設という性格より、在宅では介護困難な症例を多く抱えている現状が示唆された。
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