研究概要 |
東京大学医学部附属病院医療社会福祉部は,平成9年度に,特定機能病院として高度先進医療を広く国民に効率よく提供するために,患者・家族の満足度を高め,かつ円滑な早期退院を促す退院援助を行うことを目的に設置された。同部に平成9年4月1日から,平成10年12月31日までに依頼された226例の退院援助症例の27.7%が転院または転所し(老人保健施設等),47.5%の自宅退院症例の約半数の27.7%が訪問看護ステーションに紹介された。(退院援助継続・中断例12.8%) 依頼症例の年齢別内訳は,65歳以上58%,40〜64歳32%,20〜39歳3%,19歳以下4%である。疾患別内訳は,悪性新生物41%,脳血管障害16%,膠原病12%,痴呆11%,糖尿病8%,心疾患5%,慢性呼吸不全4%,精神疾患4%であり,クロイツフェルト・ヤコブ病,HIV感染者の依頼例もあった。 症例の住所の内訳は,東京都23区71%,東京都23区以外6%,東京都以外23%であり,3次医療圏を越えた退院援助が必要であった。平成10年度は,これらの症例のデータベース作りを行った。 平成11年度は,依頼内容,家族構成,ADL,痴呆の有無,感染症の有無について記載している退院援助依頼票,および本人・家族の意向,在宅介護スコア,必要な医療処置,退院直後必要な援助内容などについて記載している退院援助記録表を集計し,退院阻害因子を分析し,早期に介入を必要とする退院困難ハイリスクグループの,スクリーニング方法について検討する。また各地域における在宅ホスピスケアの確立,訪問看護ステーションとの情報伝達,および退院後のフォローアップシステムについて検討する。
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