研究概要 |
1. 地震によるPTSD 北西部地震による影響を約700名の児童および800名の成人を対象として調査した。児童では被災3カ月後に10.2%であったが,6カ月後には4.5%,一年後には3.1%に減少した。被災6カ月後では,成人における出現率は6.5%と児童より高く,特に,30歳代および50歳代の女性で高率であった。 2. 土石流災害によるPTSD 被災者108名を対象として調査を行った。被災1カ月後は22.7%,3カ月後は28.8%とピークに達し,6カ月後には19.7%,1年後には20.4%となった。壮年期および初老期の者における発現率が高く,また,地震と比較して発現率が3〜5倍であった。 3. 土石流災害による細胞性免疫能 上記対象者のうち同意の得られた,免疫能に対する明らかな影響のある基礎疾患のない16名について免疫能を調べた。被災3カ月後の調査では,16名中3名のNK細胞活性が正常の-2SD以下であった。また,CD4/CD8比が低下している者も3名みられた。これは,一般人口に比べて明らかに高率であり,災害後のストレスにより細胞性免疫能が低下した結果と考えられる。現在追跡調査を行っている。
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