CCケモカイン遺伝子のマッピングからケモカインの標的細胞腫と遺伝子染色体座との間に強い相関関係は認められることを見いだした。さらに1)PARC遺伝子はMIP-α-likeな遺伝子2個が進化的に最近融合して形成され、マウスにはPARC遺伝子は存在しないこと、2)マウスLEC遺伝子にはレトロポソンL1が挿入し、偽遺伝子となっていること、3)マウスHCC-1遺伝子は存在しないこと、4)染色体上の位置関係からはヒトMPIF-1およびHCC-2遺伝子はそれぞれマウスC10およびMRP-2いでに相当すること、などを明らかにした。 以上から、ケモカイン遺伝子は祖先遺伝子が重複してそのコピーがいくつかの染色体上に分散し、その後、メインクラスター内ではさらに頻繁に重複が繰り返されてメンバーを増殖させ、しかもその重複がヒトと齧歯類が分岐した後に起こったために、一方の生物でカンターパート遺伝子が存在しないことが判明した。さらに遺伝子置換やレトロポソンの挿入などケモカイン遺伝子クラスターでは様々な遺伝子再編成が起こり、ダイナミックな変化がごく最近でも起こっていることが明らかとなった。
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