研究課題/領域番号 |
10672153
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
杉本 孝一 自治医科大学, 医学部, 講師 (90244491)
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研究分担者 |
鶴岡 秀一 自治医科大学, 医学部, 助手 (50285798)
藤村 昭夫 自治医科大学, 医学部, 教授 (90156901)
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キーワード | Caco2 / シクロスポリン / プロブコール / P-糖蛋白質 / リファンピシン |
研究概要 |
前年度に引き続き、cyclosporine A(CsA)の消化管吸収に及ぼす高脂血症治療薬probucol(PROB)の影響を検討するために、Caco-2細胞での^3H-CsAの輸送に及ぼすPROBの添加濃度および時間依存性を検討した。PROBの前処置は濃度依存性に管腔側→基底膜側、基底膜側→管腔側の両方向のCsAの輸送を抑制した。従って、PROBによるCsAの吸収抑制効果は、一方向性の薬物排泄ポンプとして機能するP-糖蛋白質を介さない機序によるものであることが明らかとなった。Caco-2細胞にCsAを添加した後のPROB処置はCsAの輸送にほとんど影響を及ぼさなかった。^3H-CsA添加後、経時的に細胞内放射活性を計測したところ、CsAは添加後ただちにCaco-2細胞内に取り込まれ、その後のPROB処置はその輸送に影響を与えないことが明らかとなった(投稿中)。 また、チトクロム3A4誘導薬であるrifampicinをCaco-2細胞に処置し、P-糖蛋白質の基質薬であるCsAの輸送を検討中である。10uM rifampicinで14日間以上細胞を処置すると管腔側→基底膜側方向のCsAの輸送は低下し、基底膜側→管腔側方向の輸送は増加するというP-糖蛋白質の機能亢進と一致する結果を得た。しかし、この条件を用いた現時点までの結果では、管腔側→基底側方向の輸送低下量(-28.7±4.3〔SE〕%)に比し、基底側→管腔側方向の輸送増加量は極く僅か(+8.9±1.8%)であり、真にP-糖蛋白質がrifampicinにより誘導されたかは疑問の余地がある。さらに種々の条件を変えて培養細胞を用いた薬物輸送評価系を確立する必要がある。同細胞をもちいたチトクロム3A4活性の評価系は、nifedipineの酸化を指標とした測定系を構築しつつある。
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