研究課題/領域番号 |
10672165
|
研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
山下 伸二 摂南大学, 薬学部, 助教授 (00158156)
|
研究分担者 |
坂根 稔康 摂南大学, 薬学部, 講師 (50215638)
河野 武幸 摂南大学, 薬学部, 講師 (50178224)
|
キーワード | 全身免疫 / 経口免疫寛容 / 蛋白質医薬品 / IgG抗体 / 体内動態 |
研究概要 |
まず、昨年度の研究成果を基礎として、さらに全身免疫応答における個体間差を低減するためadjuvantによって確実に全身免疫系を賦活化させたラットを作成し、経口免疫寛容の有効性を再評価した。経口免疫寛容を誘導しておいたラットでは、adjuvantを用いた感作後にも免疫応答は惹起されず、本手法の有効性がより明確に示された。また、免疫抑制剤cyclosporin Aによる免疫抑制効果との比較を行った結果、経口免疫寛容による全身免疫応答の抑制効果はcyclosporin Aと同等以上であると考えられた。さらに、感作成立後に経口免疫寛容の誘導を試みた結果、OVAの経口投与のみでは免疫抑制効果が認められなかったのに対し、lipopolysaccharide(LPS)追加投与群においてはcyclosporin A投与群と同程度の免疫抑制効果が得られた。LPSの寛容誘導促進機構に関しては未だ不明な点が多く残されているものの、蛋白質医薬品の投与によって既にアレルギーなどを発症している患者に対しても、本手法が有効であることが明らかとなった。 次に、実際に臨床使用されている蛋白質医薬品としてinsulinを選び、繰り返し投与後の薬理効果を観察することによって、その全身免疫応答、及び経口免疫寛容の有効性について検討を行った。Adjuvantを用いて予め二回の感作を行っておいたラットでは、insulin皮下投与後の血糖降下作用に明らかな減少が認められ、生理活性を有する蛋白質医薬品においてもOVAと同様な免疫学的問題が生じる可能性が示唆された。一方、insulinを予め経口投与しておいたラットでは、二回の感作後においても薬理効果に変化は認められず、経口免疫寛容を利用した本手法の有効性が示された。
|