研究課題/領域番号 |
10672166
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
霜里 和朗 川崎医科大学, 医学部, 助手 (60154316)
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研究分担者 |
北山 滋雄 広島大学, 医学部, 助教授 (80177873)
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キーワード | メタンフェタミン / コカイン / 報酬効果 / 移所運動促進効果 / 抗コリン薬 / トリヘキシフェニディル / ドーパミントランスポーター / ベシクル モノアミン トランスポーター |
研究概要 |
私たちはマウスを用いて、コカインおよびメタンフェタミン(MAP)の報酬効果に対する、抗コリン薬トリヘキシフェニディル(THP)、ベンツトロピンおよびスコポラミンの影響を比較した。その結果、THPは、コカインの報酬効果には影響を与えないが、MAPの報酬効果を用量依存的に抑制することを報告した。この現象のメカニズムを検討するため、マウス側坐核におけるMAPによるDA放出に対するTHPの影響をin vivo脳内透析法を用いて調べた。MAPは投与後20-40分をピークとして著明なDA放出活性を示し、このDA増加は180分でベーサルレベルに戻った。側坐核におけるMAPによるDA放出は、MAP-CPPを抑制する用量のTHPにより有意に抑制された。DAトランスポーターをstableに発現するHeLa細胞を作成し、DA再取込み50%抑制を示すコカインおよびMAPに対するTHPの影響を調べたが、THPはなんら拮抗作用を示さなかった。さらに、PC12細胞のvesicleに予めDAを負荷しておき、洗滌後vesicleからのDAの遊離を観察した。レゼルピンおよびMAPはこの遊離を促進した。MAPによるvesicleからのDA遊離促進はTHPにより拮抗された。以上の結果は、THPによるMAP報酬効果の抑制には、少なくともその一部は、側坐核のシナプスvesicleにおけるMAPによるDA放出に対しTHPが抑制的に作用することが関与する可能性を示唆する。
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