研究課題/領域番号 |
10672167
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
島村 眞里子 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (00124462)
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研究分担者 |
堀 均 徳島大学, 工学部・生物工学, 教授
芦野 洋美 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (40222608)
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キーワード | 血管新生 / 低酸素 / 血管新生因子 / 血管内皮細胞 / KIN-841 / 阻害物質 / DAS / CAM |
研究概要 |
血管新生は、病的には固形腫瘍、糖尿病性網膜症および炎症等の疾病に生ずる。従って血管新生を阻害することによって、これらの疾病の防御あるいは治療が期待できる。 申請者は血管新生の最も初期の過程である「低酸素によって生じた組織中の低酸素性細胞が血管新生因子を産生分泌し、血管内皮細胞を活性化して血管新生を引き起こす」という現象から、低酸素性細胞を攻撃して血管新生因子の産生分泌を制御し血管新生を阻害することを考えた。そこで低酸素性細胞に選択的親和性を示す2-ニトロイミダゾール骨格を持つ化合物の中から、in vivoの測定系で強い血管新生阻害活性を示すKIN841を見出した。さらに強力な阻害物質の探索のため、KIN841を修飾する新規2-ニトロイミダゾール誘導体を合成、血管新生阻害作用(in vivoの測定系として鶏卵漿尿膜法)を検討し、阻害活性と構造との相関を解析した。その結果、新たにKIN861を見出した。 本年度はKIN-841とKIN-861を多量に合成し、in vivo,in vitroの血管新生阻害作用を検討した後、抗腫瘍効果を検討した。その結果、KIN-841とKIN-861は腫瘍の低酸素細胞による血管新生因子の多量な産生を抑制した。さらにマウスの背部皮下血管新生法でin vivoの血管新生を阻害した。次いでマウス肺癌の自然転移も強く阻止することが明らかになった。これらの結果から、低酸素性細胞を攻撃して血管新生因子の産生分泌を制御するKIN841とKIN861は強い血管新生阻害作用を示し、さらに有用な抗腫瘍作用を示すことが明らかとなり、血管新生を伴う重篤な疾病に対する有力な治療薬の可能性が考えられた。
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