平成11年度は、フォトンカウンティング方式の発光検出器と固定化酵素カラムリアクターを装着したFIA(flow injection analysis)システムを用いて、希釈試料(全血あるいは血漿を予め生理食塩水あるいは蒸留水で希釈して作製)10μLをインジェクションし、グルコースと尿酸の高感度分析法の開発を試みた。 昨年、全血を蒸留水や生食で一万倍に希釈して得られたグルコース値は日常検査法であるGOD-過酸化水素電極法による結果と比べると、理論的には約10%程度低値を示さなければならないのが、実際には20〜30%低値を示したので、その原因を調べてみた。サンプリングの際、試料(全血)量が少ないにもかかわらず、先に血漿を一定量採取後、残った血液を混合してから全血を一定量採取して、蒸留水や生食で希釈して測定した。その結果、血漿の量が少なくなったために全血のグルコース値が理論値よりかなり低値を示した。先に全血を採取し、蒸留水や生食で一万倍希釈して本法で得られたグルコース値とGOD-過酸化水素電極法による測定値には、蒸留水の場合、相関係数r=0.986、回帰直線y=0.913x-2.12であり、生食の場合、r=0.988、y=0.908x-1.98であった。また、生食一万倍希釈全血を遠心して血球除去後に得られたグルコース値は遠心前の血球浮遊試料で得られた値とよく一致した。これらの結果から、全血一万倍希釈ではヘモグロビンは本法に影響を与えなかった。 血清を蒸留水で予め千倍〜五千倍希釈して固定化ウリカーゼカラムを使用する本法により得られた尿酸値は日常検査法であるウリカーゼーペルオキシダーゼ法による結果とよく相関し、良好な結果を得た。
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