平成12年度は、フォトンカウンティング方式の発光検出器と固定化酵素カラムリアクターを装着したFIA(flow injection analysis)システムを用いて、希釈試料(全血或いは血漿を予め生理食塩水あるいは精製水で1万倍〜50万倍希釈して作製)10μLをインジェクションし、グルコースと尿酸の高感度分析法の開発を試みた。 昨年、全血を精製水や生食で1万倍に希釈して得られたグルコース値は日常検査法であるGOD-過酸化水素電極法による結果と比べると、約10%程度低値を示し、理論値とよく一致したが、希釈倍数を上げるに従って再現性が悪くなった。その原因として、(1)用手法によるピペットでの希釈による誤差(2)いくら純度が高い水を作製しても保存の仕方により水自身による発光が生じるという問題が考えられた。これらの問題を解決するために、今年は分注器(アキュドライブ)を購入し、精製された水の保存はガラス製の容器に保存し、プラスチック製の洗浄瓶での保存は最悪であった。その結果、希釈倍数を10万倍に上げても再現性は大幅に改善された。全血を分注器を用いて精製水や生食で十万倍希釈して本法で得られたグルコース値とGOD-過酸化水素電極法による測定値は、精製水の場合、相関係数r=0.986、回帰直線y=0.916x-4.05であり、生食の場合、r=0.988、y=0.910x-3.00であった。また、血漿を精製水で十万倍に分注器で希釈して得られた測定値との相関は、r=0.987、y=0.979x-3.1であった。0〜400mg/dlグルコース標準液を最高40万倍まで希釈しても検量線は直線を示した。固定化ウリカーゼカラムを使用する本法でも良好な結果を得た。
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