研究概要 |
キャピラリー電気泳動法(CE)を用いた臨床検査試料分析法について研究し以下の知見を得た。まず、先に開発した血清蛋白分画分析法について、血漿検体を試料とした場合に膜電気泳動法でβ〜γ位にみられるフイブリノーゲンピークが本法では検出されない原因について検討し、本法での検出の有無がフイブリノーゲン濃度に依存し、高濃度では同位置に出現することを見い出した。さらに、基準値の検討を行い本法はアルブミン分画、α-1グロブリン分画、A/Gがセルロースアセテート膜電気泳動法に比べ有意に低値であった。また本法に免疫固定法を併用した免疫蛋白同定法については血清試料の膜電気泳動免疫固定法結果との対比検討をさらに加えるとともに尿試料の分析法の開発を行いベンズジョンズ蛋白等の分析が簡便に行える方法を開発した。本法は約20数分での分析が可能でありモノクロナールなものの検出についてはほぼ満足される結果が得られた。血清中の酵素アイソザイムの分析法として本法にゼロ電位法を併用した血清中のLDアイソエンザイムおよびALPアイソザイムについて 分析法の確立を行い、基礎的検討を加えた。いづれも75μm(内径)×50cm(有効長)の未処理溶融化シリカカラムを用い血清LDアイソザイムの分析法ではL-乳酸とNADをALPアイソザイムではα-Naphthyl Phosphate(10mmol/l)およびMgCl_2(5mmol/l)を含む電解液を用い、NADH,α-naphtolを検出することによりアイソザイム分画をする方法である。いずれも一般的測定法であるセルロースアセテート膜電気泳動法と良好な相関、良好な分析精度を認めた。さらに、感染症マーカーとして本法を用いてのHBs抗原の検出法を考案し現在研究を継続中である。
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