研究課題/領域番号 |
10672185
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
嘉悦 幸代 昭和大学, 医学部・臨床病理, 助手 (40255766)
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研究分担者 |
福地 邦彦 昭和大学, 医学部・臨床病理, 講師 (70181287)
高木 康 昭和大学, 医学部・臨床病理, 助教授 (30138490)
五味 邦英 昭和大学, 医学部・臨床病理, 教授 (60053980)
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キーワード | Bcl-2 / Bax / Bad / Bcl-XL / アポトーシス / PKB / AKT / caspase / CDDP |
研究概要 |
悪性腫瘍細胞の発生は、正常なアポトーシス機構が作動しないことが原因となっている。アポトーシスは種々のDNA傷害刺激に対し、caspase cascadeが活性化することで経路が合流し一本化され実行される。Bcl-2 family蛋白は二量体を形成し、caspase経路の進行に関し正負の制御を行っている。アポトーシスに促進的なBaxやBadが、アポトーシス阻害的なBcl-2やBcl-XLと二量体を形成している場合には、正常にアポトーシスが進行するが、内因・外因性に増殖刺激が加わった際にはBadは遊離し、Bcl-2/Bcl-XLのアポトーシス抑制的な二量体となって細胞増殖が進行する。また、突然変異でBcl-2が過剰発現した際にも上記の理由から細胞は無秩序な増殖を開始する。平成10年度は、1)臨床検体を使用したBcl-2 family蛋白の解析、および、2)培養細胞株を利用し、抗癌剤作用発現時のBcl-2 family蛋白の解析を行った。l)では、胃癌サンプルでの、Bcl-2,Bax,Bcl-XL蛋白発現と、その腫瘍細胞学的特徴との関連を解析した。組織の分化の程度とこれら蛋白の発現との明確な関連は認められなかった。むしろ、進行度との関連があるのではないかと考える。Baxの陽性率は多くの症例で高く、この現象は他の報告とも一致した。腫瘍細胞の特徴付けにはp53の検索も重要であり、これも解析に加えていく予定である。2)では、細胞が増殖する際には、PKB/AKTがアポトーシス進行性のBadをリン酸化して不活化することで、Bcl-2・Bcl-XLが活性化する機構が明らかとなったことに着目し、Badの上流のPKB/AKTの活性が抗癌剤CDDP処理により変動するかどうかを観察した。その結果、PKB/AKTはCDDPの量依存的に機能が低下することが認められ、この抗癌剤の作用点が明らかとなった。
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